今回は、筆者が最新技術の真のトレンドを知る時に利用している「ハイプ・サイクル」を紹介します。
ハイプ(Hype)は、日本語で誇大広告という意味ですね。
ハイプ・サイクルは、「新しい技術や発想、イノベーションをいつ採用すべきか?」という判断に役立つでしょう。
ハイプ・サイクル
ガートナーのハイプ・サイクルは、テクノロジとアプリケーションの成熟度と採用状況、およびテクノロジとアプリケーションが実際のビジネス課題の解決や新たな機会の開拓にどの程度関連する可能性があるかを図示したものです。
ガートナーのハイプ・サイクルのメソドロジは、テクノロジやアプリケーションが時間の経過とともにどのように進化するかを視覚的に説明することで、特定のビジネス目標に沿って採用判断のために必要な最適な知見を提供します。
ガートナー ハイプ・サイクル1
各ハイプ・サイクルは、テクノロジ・ライフサイクルの5つの重要なフェーズを深く掘り下げます。
5つのフェーズ
黎明期
潜在的技術革新によって幕が開きます。初期の概念実証 (POC) にまつわる話やメディア報道によって、大きな注目が集まります。多くの場合、使用可能な製品は存在せず、実用化の可能性は証明されていません。
「過度な期待」のピーク期
初期の宣伝では、数多くのサクセスストーリーが紹介されますが、失敗を伴うものも少なくありません。行動を起こす企業もありますが、多くはありません。
幻滅期
実験や実装で成果が出ないため、関心は薄れます。テクノロジの創造者らは再編されるか失敗します。生き残ったプロバイダーが早期採用者の満足のいくように自社製品を改善した場合に限り、投資は継続します。
啓発期
テクノロジが企業にどのようなメリットをもたらすのかを示す具体的な事例が増え始め、理解が広まります。第2世代と第3世代の製品が、テクノロジ・プロバイダーから登場します。パイロットに資金提供する企業が増えます。ただし、保守的な企業は慎重なままです。
生産性の安定期
主流採用が始まります。プロバイダーの実行存続性を評価する基準がより明確に定義されます。
テクノロジの適用可能な範囲と関連性が広がり、投資は確実に回収されつつあります。
コールセンターにおけるハイプ(誇大広告)
当社はコールセンター企業ですが、当業界でも毎年のように、新たなテクノロジーが話題に挙がります。
2010年代は特に顕著で、AI、RPA、チャットボット、音声認識やテキストマイニングといったテクノロジーについて、多くのツールベンダーが提供・販売を推進してきました。
思い返してみると、これらのテクノロジーは、ハイプ・サイクルと同じ流れで、普及していったと思います。
1つのテクノロジーが話題に挙がると、一斉に各ツールベンダーが話題を盛り上げ、販売拡散を狙います。
ただし、数社のイノベーター企業が実用化を試みる中で、2~3年後にはほとんどのテクノロジーの話題が下火になります。
これは、新たなテクノロジーは高コストなイメージが強く、導入効果も不確実であるため、リスクを背負って導入しようとする企業が少ないからでしょう。
しかし、その後各社の成功体験が増える、活用方法の具体化が進む、人員不足等の外部要因によりテクノロジーへの期待が高まる、テクノロジー自体の低コスト化が進むといった様々な理由から、導入企業が増え安定してテクノロジーが活用されるようになってきました。
筆者の所見ですが、実際に安定して活用される『生産性の安定期』よりも、『「過度な期待」のピーク期』の方がセミナー等で話題に挙がる事が多く、ツールベンダーからの売込みも多かったように感じます。
世間で話題に挙がる事が多くても、それは過度な期待によるハイプ(誇大広告)になっている可能性も高く、本当に有用に活用出来るかは、熟考して考える必要があると思います。
まとめ
今回は、新しい技術や発想、イノベーションが登場してから実用化されるまでの、社会の期待度の変化を表すハイプ・サイクルを紹介しました。
ガートナー社では、その技術や発想、イノベーションが現在どの段階か?を示すハイプ・サイクルレポートを作成されています。
それらを見れば、最新技術が本当に「今」有効に活用できるものか?本当に流行るのは数年後なのか?を推測できるかもしれません。
- Gartner®, リサーチ・メソドロジ, Hype Cycle™,Nov 9th, 2023 https://www.gartner.co.jp/ja/research/methodologies/gartner-hype-cycle
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