コールセンター用語集(テクノロジー・システム)

本ページでは、コールセンターにおける、テクノロジー・システム関連の用語をまとめています。
各用語のリンク先では、活用に繋がる特集もありますので、是非ご参照ください。
AI・機械学習関連
生成AI
生成AIとは、テキスト・画像・音声・動画などのコンテンツを自動生成する人口知能技術です。
代表例(テキスト)としては、ChatGPTやClaude、Gemini等が挙げられます。
生成AIをコールセンターに実装するのは難しい?
コールセンター業界では、早くから自動応答や応対中のサポートに期待が持たれていました。
しかし、2025時点では、AIの誤回答への不安が十分に払拭されていません。
そのため、多くのコールセンターでは一部のシーンでの活用に留まっています。

特に日本のコールセンターでは、徹底してミスゼロを目指す方針が多く、なかなか導入に至れません。
コールセンターにおいて、生成AIが活用されるシーン
- FAQ作成
- 対応履歴の要約
これらのシーンでは、人が作るよりも、遥かに高速で処理が行われ、業務効率化に貢献しています。


ハルシネーション(hallucination / 幻覚)
ハルシネーションとは、生成AIが事実と異なる情報を生成してしまう現象です。
この懸念があるため、コールセンターでは生成AIの活用がなかなか進んでいません。
後述するRAGという技術の活用で、少しずつ実装が近付いてきました。
なぜハルシネーションが起こるのか?
生成AIは、大量のテキストデータを学習して「それらしい文章」を作る能力に長けていますが、事実確認や論理整合性を保証する仕組みは持っていません。
そのため、特に以下のような状況でハルシネーションが起こりやすくなります。
- 学習データに偏りがある
- 質問が曖昧または情報不足
- 専門的・最新の情報を求められたとき
RAG(Retrieval-Augmented Generation)
RAGとは、生成AIが回答を作成する際に、特定の情報を参照してから文章を生成する手法です。
LLM(大規模言語モデル)が学習データに加えて、外部のデータベースや文書を検索し、その情報を基に回答を生成することで、より正確で最新の情報に基づいた回答を可能にします。
RAGを使っても、ハルシネーションは消えない?
RAGを使えば、ハルシネーションは大幅に減ります。
しかし、それでも下記の要因から、時折正しくない回答を生成してしまいます。
- 外部情報の不正確さ・曖昧さ
- AIによる情報の取捨選択
- 質問の曖昧さや文脈不足
これらを100%完璧な状態にすることは難しく、ハルシネーションを完全になくすことは難しいです。



たとえRAGを用いても、ハルシネーションは残ってしまいます。
そのため、日本のコールセンターでは、生成AIの活用は難しい状況が続いています。
LLM(Large Language Model / 大規模言語モデル)
LLMとは、大量のテキストデータを学習して、人間のように自然な文章を生成できるAIモデルのことです。
コールセンターではFAQ作成やチャットボット応答などに活用されており、業務効率化に貢献しています。
音声・チャット技術
PBX(Private Branch Exchange / 構内交換機)
PBXとは、企業や組織内で使われる電話交換機(内線・外線の制御装置)のことです。
現地に装置を置くオンプレミス型と、オンラインの機能を用いるクラウド型があります。
近年ではクラウドPBXが増え、在宅対応や拠点間連携が柔軟に行えるようになってきました。



混同しやすいですが、PBXはそこに存在する機械です。
その他の用語は、システムや機能を指すことが多いです。
CTI(Computer Telephony Integration)
CTIとは、コンピュータシステムと電話システムを連携させる技術のことです。
コールセンターでは、顧客対応の効率化や情報の一元管理に欠かせない基盤技術です。
CTIの主な機能
- 着信時に顧客情報を自動表示(CRM連携)
- 通話履歴の記録・検索
- 通話の自動録音・再生
- コミュニケーターへの着信振り分け(ACD連携)
- 通話中のメモやタグ付け
ACD(Automatic Call Distributor)
ACDとは、着信を最適なコミュニケーターに自動的に振り分けるシステムです。
IVRやCTIと連携することで、対応効率と顧客満足度の向上に貢献します。
これらは、PBXの機能の一部として提供されることが多いです。
IVR(Interactive Voice Response)
IVRとは、自動音声によって顧客を適切な対応先へ誘導する電話応答システムのことです。
電話着信時に自動音声で案内を行い、顧客の入力に応じて適切な対応先へ誘導します。
問い合わせ内容の振り分けや定型情報の案内に活用され、対応効率の向上に貢献しています。
IVRは顧客満足度を下げる?
IVRは、窓口の細分化と専門性を高め、研修効率の向上にも繋がります。
しかし、お客様目線で考えると、IVRは問合せ時のストレスの原因となります。
例えば、1つの選択肢の説明を聞くだけで4~6秒かかります。
そのため、選択肢が5つあった場合、それだけで20~30秒かかってしまいます。
サービスレベルとして、着信から応答までの目標時間を15~20秒と設定することが多いですが、IVRだけでそれ以上の時間を費やせば、当然顧客満足度の低下が想定されます。



お客様の負担を減らすため、選択肢は多くても4個くらいまでに抑えましょう。
また、階層を分ける時も、最大2回までが推奨です。
※ユーザー層や業種によって柔軟に設計してください。
ボイスボット
ボイスボットは、音声による対話で顧客対応を自動化するAIシステムです。
IVRの進化版として、音声認識と自然言語処理を活用し、より柔軟で人間らしい応答を実現します。
コールセンターでは夜間対応や一次受付などに活用されています。
ASR(Automatic Speech Recognition / 自動音声認識)
ASRとは、音声をテキストに変換する技術のことです。
コールセンターでは通話内容の記録やボイスボットの応答に活用されており、業務の効率化と品質管理に貢献している。
TTS(Text to Speech / 音声合成)
TTSとは、テキストを音声に変換する技術のことです。
IVRやボイスボットの音声案内に活用され、自然な音声での顧客対応が可能になってきました。
近年は生成AIによる高品質な音声合成が注目されています。
チャットボット
チャットボットは、テキストベースで自動応答を行うプログラムです。
FAQ対応や一次受付に活用され、対応効率の向上に貢献しています。
AI型や生成AI型の導入が進み、より自然な会話が可能になってきました。
感情分析
感情分析とは、顧客の発言や文章から、感情の傾向を自動的に判定する技術のことです。
コールセンターではクレーム対応や応対品質の評価、VOC分析などに活用されており、顧客満足度の向上に貢献しています。
データ・分析基盤
CRM(Customer Relationship Management / 顧客関係管理)
CRMとは、顧客との関係を長期的に構築・維持するための戦略やシステムのことです。
コールセンターでは、顧客情報・対応履歴などを一元管理し、よりパーソナライズされた対応を可能にします。
顧客満足度の向上、リピート率の改善、業務効率化などに貢献します。



顧客管理のシステムは、お客様の購買サイクルに合わせて、MA・SFA・CRMのどれかが利用されます。
・商談前 ⇒ MA
・商談中 ⇒ SFA
・利用中 ⇒ CRM
・再購入やアップセルを目指す ⇒ MA



これらは、ツール間の連携が重要であり、統合型のツールもあります。
コールセンターだけで情報を終わらせず、営業部や他部署と情報連携し、より品質の高いサービス提供に繋げましょう。
SFA(Sales Force Automation / 営業支援システム)
SFAとは、営業活動を効率化・可視化するためのツールや仕組みのことです。
顧客情報、商談履歴、進捗状況などを一元管理し、営業担当者の業務を自動化・最適化します。
CRMと連携することで、コールセンターでも営業支援が可能になります。
MA(Marketing Automation)
MAとは、見込み顧客の獲得・育成・選別などのマーケティング活動を、ツールで自動化する仕組みです。
メール配信、Web行動の追跡、スコアリングなどを通じて、営業やコールセンター部門に「質の高いリード」を提供します。
CRMやSFAと連携することで、顧客対応の精度と効率が向上します。
コールセンターとMAツール
MAツールは、基本的に商談前の顧客の購買意欲を促進する目的で利用されます。
しかし、最近ではコールセンターとWEBサイトの連携が重要視されています。
お問合せ前の顧客行動を追うツールも出始めましたが、大別するとMAと言えるでしょう。
BI(Business Intelligence)
BIとは、業務データを収集・分析・可視化し、意思決定を支援する仕組みです。
コールセンターでは、通話件数・応答率・顧客満足度などのKPIをリアルタイムで把握できます。
Excelやレポートでは見えにくい傾向や課題を、グラフやダッシュボードで直感的に理解できます。



簡単に言うと、複数のDBから情報を集約し、様々なグラフを作成するツールです。
これを活用して、業務改善や意思決定をします。
テキストマイニング
テキストマイニングとは、文章データ(テキスト)から有益な情報や傾向を抽出する技術です。
コールセンターでは、顧客の通話記録やチャット履歴、アンケート回答などを分析するために使われます。
その結果、感情分析・キーワード抽出・トレンド把握などが可能です。
業務自動化・クラウドサービス
RPA(Robotic Process Automation)
RPAは、定型的な業務をソフトウェアロボットが自動で処理する仕組みです。
人がPCで行う操作を模倣し、業務の効率化・ミス削減・コスト削減を実現します。



RPAは、Excelのマクロという自動化機能に似ています。
Excelのマクロ | RPA | |
---|---|---|
自動化範囲 | Excel | PC上で操作する複数のアプリケーション |
プログラム言語 | VBAの知識が必要 | ノーコード/ローコードで開発可能 |
BPaaS(Business Process as a Service)
BPaaSは、業務プロセスをクラウド経由で提供するサービス形態です。
人手・システム・運用ノウハウを一体化して、外部から業務をまるごと受託・提供するモデルです。



BPaaS = BPO(業務委託) + クラウド + 自動化(RPAやAI)というイメージです。



