勤務間インターバルの実務ガイド:コールセンターで不足しやすい原因と運用改善策

勤務間インターバル制度1とは、終業から次の始業までに一定の休息時間(一般的には11時間)を確保する仕組みです。
コールセンターでは早番・遅番・深夜帯のシフトが重なり、
「遅番→早番」「長時間残業の翌日勤務」など、インターバル不足が起こりやすい業種です。

この記事では、コールセンター特有の運用実態をふまえながら、
・勤務間インターバルの基礎(結論・法的位置付け)
・不足が起きる2大原因(シフト構造・残業)
・逆算ルールを使った実務的な対策
・外部化の判断基準(チェックリスト付き)
を体系的にまとめています。

目次

勤務間インターバル制度とは【結論:何時間必要か?義務か?】

● 制度の定義(11時間)

勤務間インターバルとは、
「終業から次の始業までに一定以上の休息時間を確保する仕組み」です。

例:21時に終業 → 翌日は8時以降に始業

明確な時間は定まってはいませんが、多くの例で11時間とすることが多いようです。
また、人事院が国家公務員の勤務間インターバルに関して発出した通知2では、「勤務間のインターバルの目安は11時間とする」と明確に記載されています。

● 法的位置づけ(努力義務)

現時点では「努力義務」で法的拘束力はありませんが、働き方改革の流れもあり、導入企業が増えています。

当初、2026年に想定されていた労基法改正において、具体的課題3として挙がっていました。
しかし、2025年12月26日厚生労働省より、2026年度通常国会の法案提出を見送る発表4がされたため、法的拘束力はないままとなっています。

もちろん、将来的には義務化の可能性もあります。
後述するメリットもあり、企業は早めに取り組んで損はないでしょう。

● 導入が進む理由

  • 健康リスクの高まり:睡眠不足が続くとミス率が上昇
  • 離職と採用難:働きやすさの可視化が求職者の重要条件に
  • 品質管理の重要性:顧客体験(CX)を左右する

これらの要因から、勤務間インターバルは「制度対応」ではなく、品質と運営の安定性を高める基盤づくりとして注目されています。

● 労働時間管理との違い

  • 総労働時間の管理
  • 勤務と勤務の“間”の休息の管理
    は別物です。

残業が少なくても「退勤が遅い → 睡眠時間が短い」という事態は起こります。
そのためインターバル制度は、心身のコンディション維持に直結する施策として注目されています。

コールセンター業務は精神的負荷・瞬発的判断・精度が求められるため、休息が応対品質に直結します。


コールセンターにおける勤務間インターバルの有用性

特有の“休めない構造”をどう変えるか

コールセンターでは、早番・遅番・深夜帯を組み合わせた複雑なシフトが必要になります。
そのため、「構造的に休めない」状態に陥りやすくなり、睡眠不足が長期化すると、以下の問題が発生します。

構造的な問題発生する問題
・遅番の翌日に早番が続く
・急な欠員で誰も代われない
・特定時間帯に業務が集中する
・応対ミスの増加
・顧客満足度(CS)の低下
・スタッフの離職
・採用コスト・教育コストの増加

こうした課題を構造レベルから改善できる方法として注目されているのが、厚生労働省が推奨する 勤務間インターバル制度 です。

導入メリット

応対品質の安定インターバル導入でミス率が改善する例があります。
スタッフの定着率向上休息確保により働き続け安くなり、離職率の低下に貢献します。
労務リスクの軽減長時間勤務の蓄積はトラブルの原因になりやすく、
制度導入は予防策として有効です。
採用競争力の強化「休める職場」は求人上の強いアピールポイントになります。

勤務間インターバルが取れない理由

そもそも、勤務間インターバルが取れないとはどういう事でしょうか?
その理由は、大きく分けると2つに集約されます。

つまり、『これらの解消 = 勤務間インターバル制度の実現』となります。
ここからは、それぞれのケースがなぜ発生するのか?と具体的な対処方法を紹介します。

ケース1:シフト構造の問題への対策

勤務間インターバルが取れない

  • 業務の稼働時間が長い
    → 仮に平日日中のみの窓口なら、シフト構造上の問題は起こりえません。
  • 勤務シフトが変動制
  • 早番や遅番、夜勤といった複数のシフトをカバーするスタッフがいる

これらを前提に、需要(必要席数)と供給(出勤可能人数)がかみ合わないときに発生します。

具体的なシチュエーションの検証

ここでは、勤務間インターバルの時間を11時間という前提で検証します。
また、夜勤→同日遅番や、早番→同日夜勤といったシフトは、現実的ではないため除外し、遅番→早番のケースに絞って検証します。

早番が9時出社の場合

→ 逆算すると、前日の終業時間は22時より前であることが必須です。

前日のシフト(22時まで)→11時間の空き時間→次の日のシフト(9時~)
11時間インターバルを取った時のイメージ

つまり、22時を過ぎて退勤し(例えば23時に退勤)、翌朝9時に出社した場合はNGとなるわけです。
これを踏まえると、勤務間インターバルを実現する具体的な方法が見えてきます。

勤務間インターバルを実現する簡単な方法①

  • 最も効果的な対策は 「遅番→早番の組み合わせを作らない」 ことです。
    → シンプルですが、これだけで多くのインターバル不足が解消します。
  • 遅番の終了が22時を超える場合は、翌日の早番(9時〜)には入れないという「逆算ルール」を設定する。
    → これなら、仮に遅番→早番のシフトでも、一定時間のインターバルを得られます。

ケース2:残業への対策

4時間残業すると勤務間インターバルは不十分になる?

勤務間インターバルが不足するラインは「残業4時間」が目安です。
これは勤務拘束9時間 + インターバル11時間 = 20時間という計算に基づきます。

  • 通常勤務の拘束時間:9時間(8時間勤務 + 1時間休憩)
  • 残業時間:X時間
  • 勤務間インターバル時間:Y時間

翌朝同じ時間に出勤する場合、① + ② + ③ = 1日(24時間)となります。
これを代入すると、 9 + X + Y = 24 ⇒ X + Y = 15時間 です。
Y(勤務間インターバル時間)を一般的な11時間以上とした場合、X(残業時間)は最大でも4時間となります。

勤務間インターバルを実現する簡単な方法②

  • 残業をしない。
    → シンプルですが、最大の目標です。
  • 仮に残業が必要になった場合も、1日で最大4時間までを徹底する。
    → 4時間を超える残業の場合は、翌日出社を遅らせて良い等のルールも検討しましょう。
前日のシフト(22時まで)⇒◎11時間の空き時間⇒次の日のシフト(9時~) / 前日のシフト(23時まで)⇒△10時間⇒次の日のシフト(9時~) / 前日のシフト(23時まで)⇒◎11時間の空き時間⇒次の日のシフト(10時~)
翌日の出勤時間を調整してインターバルを確保するイメージ

コールセンターにおける長時間残業の主要因

  • 根本的な人材不足。
    → 昨今は転職ブームも影響し、人材の定着が困難です。
  • 当日欠勤者のフォロー。
    → 受信窓口は欠勤者がいても稼働する必要があります。時には残業が必要になることもあります。
  • 残業時間中も、窓口運用が継続している。
    → 質問が来たり、現場をフォローしたり、残業でやろうとした仕事になかなか取り組めません。

これらの要因は、稼働時間が長いコールセンターほど、問題が起こりやすいです。

外部化(アウトソーシング)の判断軸とチェックリスト

勤務間インターバルの改善では、まず 内部でのシフト設計の見直し・業務分散の改善が前提です。
それでも解消が難しい場合に、深夜帯など 時間帯を限定した部分委託(BPO) が最も効果を発揮します。

外部化が特に効果を発揮する条件(簡易チェックリスト)

以下のうち2つ以上当てはまる場合、外部化が有効です。

  • 深夜・早朝に業務が集中している
  • 遅番→早番の回避が物理的に難しい
  • 少人数でシフトが重ならない
  • 欠員対応が属人化
  • 繁忙期に応答率が下がる
  • 時間帯で業務量の偏りが大きい

このチェックリストを使うと、
「どこが制約になっているのか」「内部で解決できるのか」「部分外部化が必要なのか」
が整理できます。


よくある質問(FAQ)

勤務間インターバルは何時間必要ですか?

明確な時間は定まってはいませんが、多くの例で11時間とすることが多いようです。
また、人事院が国家公務員の勤務間インターバルに関して発出した通知では、「勤務間のインターバルの目安は11時間とする」と明確に記載されています。

罰則はありますか?

現時点では罰則はありませんが、労務リスクは高まるため注意が必要です。

少人数でも勤務時間インターバルは導入すべきですか?

導入メリットが大きいため、少人数でも導入を目指すことを推奨します。
9→10→11時間といったように、少しずつ段階的に時間を延ばして導入するのがオススメです。

応答率を落とさずに導入できますか?

工夫次第となります。
逆算方式のシフト設計と業務分散を併用すると安定しやすいです。

勤務間インターバルの導入コストはかかりますか?

外部化を併用する場合は、委託費が発生します。
ただし、自社の運用でも見えない形で同じコストは発生しています。
委託をすることで、今まで自社で発生していたコストが見える化するメリットもあります。


まとめ:明日から始める「3つの最初の一歩」

勤務間インターバルは、
品質向上・離職削減・採用力強化・労務リスク低減 のすべてにつながる重要な制度です。

まずは次の3つから始めてみてください。

  1. 現状シフトを可視化(遅番→早番の数を数える)
  2. 最低インターバルを“9時間”から段階導入
  3. 時間外の業務量を棚卸しし、外部化を検討

特に時間外業務は下記の要因でインターバルの阻害要因となります。
・欠員が出てもフォローしづらい
・残業につながりやすい
・固定人員では安定しない
 → この時間帯だけ外部化すると効果が出やすくなります。

小さな調整を積み重ねることで、
「休めない構造」から「持続可能な運営」へと確実に変わります。


  1. 参照元:勤務間インターバル制度をご活用ください(厚生労働省東京労働局)
    https://jsite.mhlw.go.jp/tokyo-roudoukyoku/hourei_seido_tetsuzuki/interval01.html  ↩︎
  2. 参照元:勤務間のインターバル確保について(人事院(国家公務員向け)の公式通知_令和6年3月29日発)
    https://www.jinji.go.jp/seisaku/kisoku/tsuuchi/15_kinmujikan/1501000_r6shokushoku78_00001.html ↩︎
  3. 参照元:労働時間法制の具体的課題について(厚生労働省労働基準局_令和7年10月27日)
    https://www.mhlw.go.jp/content/11201250/001585949.pdf ↩︎
  4. 参照元:「働き方」めぐる労基法の改正 来年通常国会の法案提出見送りへ 引き続き検討(Yahoo!Japanニュース_2025年12月26日)
    https://news.yahoo.co.jp/articles/dfb9720469b10bc905031e0fece09673b4cb41ed ↩︎
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