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SPINで見るカスタマーサポート

本記事では、顧客のニーズを捉える「SPIN話法」を活用し、カスタマーサポート窓口の展開を新たな視点から考察しました。
「SPIN話法」は商談技術として活用される事で有名ですが、顧客のニーズを捉える力は、顧客サポートの品質向上にも応用できるはず!

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BANTの記事と似た試みです。

「SPIN」とカスタマーサポート

SPINとは、適切な手順でお客様に質問を投げかける事で、ニーズを顕在化させる商談手法です。
簡単な流れは下記のようになります。

  • S:お客様の状況(Situation)を確認し、
  • P:課題(Problem)を共有する。
  • I:その上で課題を放置した際に起こりうる影響(Implication)を一緒に考え、
  • N:最後にお客様自身で解決イメージ(Need payoff)を持っていただく。

各段階の頭文字を取って、SPINとなります。
※詳しくはリンク先の記事で紹介中です。是非ご参照ください。

営業・商談においてSPINを用いる目的は、お客様の中で商品・サービスのニーズを顕在化させ、購買意欲を高めるものです。
カスタマーサポートにおけるSPINの目的は、ニーズを顕在化させ、カスタマーサクセス(お客様の成功)に繋げるものと定義します。

それでは早速、カスタマーサポートをSPIN目線で解剖してみましょう。

Situation(状況)

事前準備と仮説

サポート窓口では問合せを受けた際、まずその内容とお客様の確認を行ないます。
この部分がSPINにおける「Situation(状況質問)」でしょう。

商談におけるSPINと同様、ここで大切なのは事前準備と仮説となります。
既にサービス利用中のお客様や、以前に問合せをしたことがあるお客様は、自身の基本情報や過去の問合せ状況を把握された上で対応される事を望みます。
過去の問合せ履歴から、今回の問合せに至る仮説を立て、いち早くお客様のニーズを把握する事も可能です。
もちろん仮説が外れる可能性もあるので、想定が間違っていた場合はしっかりと頭を切り替えた上で、1から状況確認をしましょう。

CRM(顧客情報管理)の活用

しかし、この状況確認に時間がかかり過ぎてしまった場合は、逆に不満にも繋がります。
有効な対応方法としては、顧客情報を管理するCRMシステムと電話回線を連動させ、早期に情報を確認する事です。

またスムーズな状況確認のコツとして、対応履歴はテンプレート化した箇条書き形式が推奨です。
サポート窓口の担当者は丁寧な性格の人が多いのか、対応履歴内でも敬語を用いたり、伺った内容を事細かに丁寧な文章で残したりする事が散見されます。
しかし、窓口内での引継ぎにそれは必要ありません。次の担当者が確認に時間がかかる=お客様に迷惑がかかる、と割り切って考えた方がお客様のためです。

Problem(課題)

「質問形式」で課題を顕在化させる。

状況を確認したら、次は課題の共有です。
サポート窓口に問合せをする時点で、どんな課題を解決したいか?は定まっている事がほとんどです。
そのため、お客様が主導で話が進むパターンが多いですが、ヒアリング漏れや長時間対応の原因になりえます。

この時コミュニケーターが率先し質問形式を取って、お客様から課題を共有いただくと、スムーズなヒアリングが可能となります。
特に有効な手法は、フローチャートを作成し、確認の流れを確定させる事でしょう。
予め定めたフローで確認を行なう事により、漏れなく短時間で対応が可能となります。
また何よりも、課題ヒアリングの流れが複雑化しない事により、案内の難易度が下がり、コミュニケーターの負担軽減も期待できます。

Implication(影響)

商談においては、課題の重要性を認識し、購入意欲を高める段階です。
カスタマーサポートにおいては、課題と課題解決の影響、そしてその緊急性を正しく認識する段階と考えました。
下に例を挙げます。

課題の影響例

・課題例:自動車が動かなくなってしまった。
 ⇒影響:移動が出来ず困っている。

課題解決の影響例

・課題例:PCで特定のソフトウェアAが起動しない。
・解決策:バックグラウンドで動作しているソフトウェアB・Cを停止させ、PCの負担を軽くする。
 ⇒影響:ソフトウェアB・Cの利用が制限されてしまう。

「お客様と一緒に考える」

これらは課題をそのまま解決しただけでは最上の結果となりません。お客様の状況ごとにその影響迄も考えた解決案が必要となります。
ヒアリング後、「お客様が何を望むのか?」「その解決案による影響は?」について解決案を提示しながら、お客様と一緒に最良の方法を模索する事が大切でしょう。

Need payoff(解決イメージ)

カスタマーサクセス

商談においては、商品サービスを利用して、得られる解決イメージ(成功体験)を考える事で購買意欲を一気に高める段階です。
サポート業界においては、カスタマーサクセスという言葉がしっくりきます。
定義は色々ありますが、商品・サービスの購入よりも、それを利用した上での成功体験に焦点を当ててサポートする考えです。

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カスタマーサクセスの特集記事も是非ご覧ください。

まとめ

優れた商談スキルとして、ニーズの顕在化と購買意欲を促進させるヒアリング手法「SPIN」を基に、カスタマーサポート窓口の最適化方法を検証しました。
販売段階でもサポート段階でも、顧客のニーズを捉える事の重要性は変わらないでしょう。
今回は営業手法をカスタマーサポートサイドに適用してみましたが、逆にしても面白いかもしれません。

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橋本直幸

橋本直幸

旅行と読書が大好きなライター。コールセンター関連の最新トレンドや知識を共有し、皆さまの業務に役立つ情報を配信します。

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