『つながらない権利』とは?2026年労基法改正と企業の働き方改革

近年、日本企業では働き方改革が急速に進んでいます。その中で注目されているのが「つながらない権利」です。これは、勤務時間外に業務連絡や指示を受けない権利を指し、従業員の健康とワークライフバランスを守るための重要な概念です。
欧州ではすでに法制化が進んでおり1、フランスでは2016年の労働法典改正により、法制化されています。日本でも、厚生労働省の研究会2で「つながらない権利」が検討されています。
2026年の労基法改正で明文化されるかどうかは現時点では未確定ですが、議論が進んでいるため、企業は今から対応を検討することが望ましいでしょう。
「つながらない権利」とは?
厚生労働省の議論では、勤務間インターバル制度や連続勤務規制と並び、「つながらない権利」が検討されています。これは単なる「残業削減」ではなく、勤務時間外に業務から切り離される権利を保障するものです。
これが導入されると、企業は従業員に対して勤務時間外の連絡を制限するルールを整備する必要があります。
現時点では、明確な罰則規定はありませんが、法改正後はガイドライン違反や不利益取扱が問題となる可能性があります。
企業は、コンプライアンス上のリスクやイメージ低下を防ぐため、早期にルール整備を進めることが重要です。
労基法改正で企業に求められる対応
2026年の労基法改正は、企業にとって単なる法令遵守の問題ではありません。従業員の健康管理、離職防止、生産性向上という観点からも重要です。
そして、管理職や責任者は、下記のような課題に直面することになります。
- 夜間や休日に対応が必要な顧客問い合わせをどうするか?
- 緊急連絡を制限しながら、業務を滞らせない方法は?
- コンプライアンス違反を防ぐための仕組みづくり

海外では、「管理職」も例外にせず、「全従業員」を対象としていることが多いようです。
日本も同様になる可能性が高いでしょう。
実践的な対策:企業が今すぐできること
ここでは、企業が取り組むべき3つの具体策を紹介します。
① ルールと意識改革
- 勤務時間外の連絡を原則禁止するガイドラインを策定
- どうしても連絡が必要な緊急案件を予め定義
- 管理職向け研修で「つながらない権利」の重要性を浸透



×「管理職が勤務時間外もやれば良い。」という考えは改めましょう。
② ツール活用で負担軽減
- メールやチャットの予約送信機能を活用し、勤務時間外の通知を防止
- 受信側も、内容に合わせて通知機能をON・OFFすることで、過剰な通知を防止
- チャットボットやFAQシステムで顧客対応を自動化


③ 体制の再構築
- 現行体制で、絶対に自社で対応しなければならない業務と、それ以外を切り分け
- 夜間・休日対応は外部委託(BPO)でカバーし、顧客満足と従業員満足を両立
- 簡易的な受付はAI、人が対応すべき内容は外部委託と、内容によって切り分けるのがベスト
BPO活用で実現する「つながらない権利」
BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)を導入することで、企業は次のメリットを得られます。
- 24時間対応を維持しながら、従業員の負担をゼロに
- 専門スタッフによる高品質な顧客対応
- コスト最適化とコンプライアンス強化
特にコールセンター代行は、夜間や休日の問い合わせ対応を外部に任せることで、従業員が安心して「つながらない権利」を享受できる環境を整えます。
ただし、夜間窓口を委託しても、緊急のエスカレーションが多ければ、負担は軽減されません。



委託開始後も、継続的に窓口の改善を図れるかがカギです。
・定例会による業務の見直し
・顧客の声を活かした改善活動


結論:『つながらない権利』は企業の競争力を高めるチャンス
今後の労働時間法制の見直しは、企業にとってリスクではなくチャンスです。法改正の方向性はまだ確定していませんが、働き方改革を先取りすることで、企業価値と顧客満足度を同時に高めることができます。



今こそ、従業員満足を高め、持続可能な企業体制を構築しましょう。
- 労働時間法制の具体的課題について(法定休日・連続勤務規制、勤務間インターバル、つながらない権利) / 厚生労働省労働基準局 2025年10月27日
⇒ https://www.mhlw.go.jp/content/11201250/001585949.pdf
↩︎ - 第13回労働基準関係法制研究会 議事録 / 労働基準局労働条件政策課 2024年9月11日
⇒ https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_45069.html
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